01 人類の環境適応力

環境に適応する能力が、人を進歩させた。

人類の進歩。それは地球環境の変化に適応してきた歴史でもあります。

地球が誕生して約46億年、そして私たち人類が誕生して約200万年。地球的時間軸で見ればそのわずかな期間の間に人類は飛躍的な進歩を遂げてきました。その存在は今や地球環境に最も影響を及ぼすようになったと言っても過言ではありません。人類の繁栄の要因は色々ですが、その一つには地球環境の変化に柔軟に適応してきたことがあげられるでしょう。
例えば人類の歴史においては、先史時代は道具や火を利用するなどの知恵を身につけ、その後農耕革命を起こして食糧生産が安定し定住生活を始めました。さらに農耕が定着し人口が増加すると都市化が進み、灌漑技術や建築技術の進歩などにより数多くの文明が誕生。中世都市では経済的・文化的発展が見られ、近代になると産業革命が起こり機械化により生産技術が革新的に向上しました。このように時代時代において人類は圧倒的な速度でまわりの生活環境に適応するための知恵や技術を生み出し発展を遂げてきました。

文明も文化も技術も
適応力から生まれた

世界中の様々な地域で、人々はその気候や環境に柔軟に適応しながら暮らしています。

衣・食・住それぞれの分野においても、人類は様々な知恵や工夫でその気候や環境に適応してきました。例えば住居では熱帯雨林地域の湿気を防ぎ室温を下げる高床式住居をはじめ、モンゴル草原では設営が簡単で屋内も暖かく移動に適した住居であるパオ、衣装ではアラブ湾岸地域で日中の日差しから体を保護するカンドゥーラ、食料では寒冷地における保存食スモークサーモンなど、世界中でそれぞれの環境に合った非常に優れた適応例が見られます。
これらの多様な適応により、人類は進歩を続け豊かな暮らしを手に入れてきました。いわば環境への適応力は私たちが持つ最も大切な能力であり財産の一つと言えるのです。

環境への適応力こそ
人類が誇るべき財産

モンゴルの住居[パオ]

モンゴルの住居
[パオ]

パオはモンゴルの遊牧民族が使用する円形の移動式テントです。モンゴルの風土や気候に適応し、夏は涼しく冬は暖かい環境を提供します。また組み立てや移動が簡単なため、遊牧生活に適しています。
ベトナムの住居[高床式住居]

ベトナムの住居
[高床式住居]

ベトナムの山岳地域や洪水の多い場所に見られる伝統的住居です。地面より住居を高くする事で洪水による浸水を防ぎます。また住居の下部の空間に通気口や通風孔を設け住居内の湿度を下げています。
UAEの衣装[カンドゥーラ]

UAEの衣装
[カンドゥーラ]

UAEなどの湾岸アラブ諸国で見られる一般的な男性の伝統的衣装です。通気性のある綿や麻の一枚布で作られた白色のローブで、通気性に優れ、白色は日光を反射し熱の吸収を最小限に抑える効果があります。
ペルーの衣装[ポンチョ]

ペルーの衣装
[ポンチョ]

ペルーを含むラテンアメリカ諸国で一般的な伝統衣装の一つで、矩形または正方形の生地を首にかけ体を覆う形状の外衣です。保温性と防寒性に優れ、身体の動きを制限せずさまざまな活動に適しています。
ノルウェーの食材[スモークサーモン]

ノルウェーの食材
[スモークサーモン]

スモークサーモンは北欧を起源とする、鮭を燻製(スモーク)して作られる料理です。魚を燻すことで鮮度を保ちながら長期保存が可能になります。また煙の効果により豊かな香りと味わいが楽しめます。
世界の気候帯