04 フェーズフリーという気候変動適応策
気候変動に適応する一番の近道は、みんなが自然と参加できること。
これまで私たちは気候変動対策として、温暖化の進行を抑える緩和策に注力してきました。
再生可能なエネルギーの活用、森林の拡大、消費電力を抑えた家電や排気ガスの少ない低燃費自動車の普及などが代表的な例です。これらは行政のみならず企業や一般の人々に広がり、世界中で様々な取り組みが続けられています。
一方、被害を防ぐ適応策としては、洪水から守る堤防、ヒートアイランドに対応する緑化、高温でも育つ農作物の品種開発、水不足に備えるダムなどが挙げられます。そのほとんどは、行政など公的機関の危機管理施策や一部の民間企業の社会貢献事業として取り組まれています。これらの取り組みは多くの被害を防いではいますが、それでも多種多様な気候変動による影響に対して対策は十分ではありません。その結果、多くの命や生活を失い続けています。国や地域を超えて広がっていく気候変動による多くの被害。この問題の解決には、私たち個人も含めた社会全体で取り組む事が必要なのです。
でもそれはそんなに簡単な事ではありません。国や企業のみならず一人一人がまだ発生していない被害に積極的にお金や時間や労力を使う事がなかなかに難しいからです。そのハードルを超えるためのかしこい方法。それは私たちが日常の暮らしの中で自然に気候変動適応策に参加できる仕組みを作ることです。毎日を楽しく生き生きと暮らしていることが自然と被害を防ぐことにつながっていく。それこそが気候変動に適応する一番の近道ではないでしょうか。
みんなが起こした問題は、
みんなでなければ解決できない
無理なく、無駄なく、日々の暮らしで気候変動に適応できるかしこい方法。
それが「フェーズフリー」。
私たちは一般的に、日常生活を優先し、不確実な未来への備えを後回しにしがちです。また、備えたとしても、よほどの余裕がなければ必要最低限にとどまり、十分なものにはなりません。備えるという取り組みがなかなか進まないのはこのためです。そのような中、私たちみんなが自然と適応策に参加できるようになる、最も効果的で重要な考え方があります。それが「フェーズフリー」です。
「フェーズフリー」は、日常生活を豊かにするもので、非常時の私たちの生活や命を守れるようにデザインすること。すなわちわざわざコストをかけずに日常の中にある価値で、この先の被害を防ぐことができるというかしこい仕組みです。「フェーズフリー」なら、みんながいつもの暮らしで使っているモノやサービスで多種多様な被害を防ぎ、気候変動に自然に適応することができるのです。
いつでも役に立つことが、
適応するための力になる