02 人による急激な気候変動
産業革命がもたらしたかつてない気候の変化が、様々な被害を引き起こしています。
優れた環境適応力で急速な進歩を続けてきた人類。しかし今その歩みが大きな曲がり角を迎えています。18世紀後半から19世紀にヨーロッパ各国で起こった産業革命により機械化が進み、生産力が劇的に向上。市場の拡大や経済の活性化、交通網や医療技術の発展など、衣食住すべてにわたり人々の生活は驚くほど豊かになりました。
しかしながらその動力源に石炭・石油などの化石燃料を使用する事で、二酸化炭素が大気中に大量に排出。その結果、二酸化炭素を主とする温室効果ガスが大気中の熱を封じ込め地球温暖化が急速に進行しています。この温暖化による降水量の変化や極端な気象現象の発生・海面水位の上昇などの気象の変化が、近年の洪水、熱波、干ばつ、高潮などの様々な危機をもたらし、私たちに大きな被害を与えています。いわば人類がもたらした急速な温暖化という未曾有の気候の変動が地球規模の危機となっているのです。
温暖化による気候変動が
いま大きな問題に
洪水
国際支援が要請されたまたは被災者100人以上といった一定規模以上の洪水被害は、1970年代には年間40件以下であったが、2000年以降には年間120件を超えて3倍以上になっています(*1)。また、気温が4℃上昇に達すれば、洪水被害はさらに数倍に増加する可能性があります(*2)。
熱波
2003年の欧州における熱波による死者数は2~3万人とされています(*3)。地球温暖化の抑制に向けた現行政策に変更がなければ、2100年までに地表温度は産業革命前に比べ2.7℃上昇し、その場合には20億人以上が、生命に危険が及ぶほどの酷暑環境に置かれるとする予測もあります(*4)。
干ばつ
1970年から2019年の間に、世界中で干ばつに関連する災害事象が数十億ドルの経済的損害をもたらしたと推定されています(*2)。化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない場合、今世紀のうちに世界の約30%で過去最大規模の干ばつ頻度が5年以上続く時期が発生するとする予測もあります(*5)。
高潮
海面水位は、1901年から2018年の間に、世界で平均して約0.2m上昇しました(*6)。2100年までには、いくつかの低平地島嶼国が水没し、中期的に約10億人が高潮をはじめとする沿岸特有の気候災害のリスクにさらされます(*2)。
人類が迎えるかつてない危機。
気候変動への対策がいま私たちにとって重要な課題であり責務です。
このまま温暖化が進むと地球は、そして私たち人類はどうなるか? もし二酸化炭素の排出削減が行われなかった場合、温室効果ガスの濃度は高まり、2100年における地球の平均気温は現在と比べて4.0~5.5℃上昇。その結果、豪雨による洪水、干ばつ、熱波、高潮などの極端な気象災害が拡大・頻発し、地球全体の気候が激変することが予想されています。世界中で様々な災害が引き起こされ、私たちの暮らしも膨大な被害を受けることでしょう。
私たち人類がこれからも地球で安心して豊かに暮らしていくためには、気候変動対策へ迅速に取り組むことは重要な課題であり責務なのです。
このままだと
地球が、人類が、危ない
[ 気候システムモデルが予測する地球温暖化による最悪のシナリオ ]
このまま温室効果ガスを高いレベルで排出し続けた場合、
2100年には平均気温が産業革命前に比べて4℃程度またはそれ以上に上昇すると予測されます(*6)。その場合、
熱帯の海洋生物の
約50%が絶滅
4℃を超える温暖化の場合、熱帯の海洋種の約50%が絶滅し、世界の陸地の35%にわたって生態系の主要な植生形態の変化が起きる可能性があります(*2)。
世界の約40億人が
水不足に
4℃の温暖化では最大で世界の約40億人が水不足による様々な被害を受ける可能性があります(*2)。
世界人口の1/4以上が
デング熱のリスクに
4℃を超える温暖化の場合、北米、アジア、ヨーロッパ、サハラ以南のアフリカでデング熱の媒介範囲が拡大し、22億5000万人が感染リスクにさらされると予測されています(*2)。